玉川上水 2

玉川上水は拝島駅の北口近くを流れていく。
その北口付近で横田基地専用線が上水を横切る。
この専用線を利用して、米軍横田基地への燃料輸送が行われている。
橋脇の踏切には和英併記の立入禁止の注意書きがあり、「WARNINNG」とい
う文字が目を惹く。
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その専用線に並行する平和橋の右岸脇には拝島分水の取水口を見ることができる。
拝島用水は元文5年(1740)に開削され、拝島村の農業用水・生活用水に使用
された。
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そこから百メートルほど下ると、今度は反対側に殿ヶ谷分水の取水口跡がある。
こちらは享保5年(1720)の開削で、現在の立川市西砂地区の農業用水・生活
用水として利用され、残堀川に合流していた。
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この先、玉川上水の周囲に寺院・神社といった史跡は少なく、分水の取水口な
どを探しながら歩くことになる。
ということで、ここで玉川上水の分水について、軽く触れておく。
「上水記」(1791)によれば、飲料および灌漑目的で作成された分水は33であ
った。(大名屋敷への引水などを含む)
明治3年、分水改正が行われて取水口がまとめられ、小平付近の分水は北側
は新堀用水に、南側は砂川用水に統合された。
そのほか、明治期以降に開削された分水もあり、大正期には23分水が存在し
たという。
分水開削の際は当然のことながら幕府の許可を必要とし、分水の料金(水料も
しくは堰料といった)は金あるいは米で徴収された。

さらに数百メートルいくと、こはけ橋手前で右岸から拝島原水が合流する。
多摩川の異常渇水および水需要の増大に対応するために昭和16年(1941)
に設けられたもので、南西方向2.5km先に位置する昭和用水堰で取水され、
拝島原水補給ポンプ所を経由して供給される。(冬期のみ)
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その先で西武拝島線と交差する。
拝島線は、これから玉川上水駅の先まで、上水の北側を並走する。
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相変わらず高い柵が続き、その脇を歩き続けることになるが、水路の右岸を見
ると、木立の先にゴルフ場のグリーンが広がっている。
昭和の森ゴルフコースである。
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西武立川付近に達すると、玉川上水は300メートルほどの区間暗渠となる。
かつて、この南側に昭和飛行機という軍需工場があり長さ1200m、幅170m
の滑走路があった。
その滑走路の延長計画があり、上水に覆蓋工事が施されたとのことだが、終戦
により延長されることは無かったという。
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現在、工場跡地はゴルフ場などに、また暗渠上は公園になっている。
数年前まで、上水から西武立川駅の間は草叢が広がり駅が見通せたが、駅南
口の開発計画が施され、スーパーや住宅が立ち並び始めた。

松中橋手前に2つの取水口がある。
上流側(写真右)が柴崎分水立川分水)で、下流側(写真左)は砂川分水である。
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柴崎分水は元文2年(1737)の開削で、柴崎村(現在の立川市柴崎付近)へと
流れる。
一方、砂川分水は、明暦3年(1657)の開削で、末路は小金井分水や深大寺
用水などへと分かれる。
ともに現在でも流水されており、砂川分水はここから数百メートルの間、玉川
上水沿いの散策路脇に流れを見ることができる。

新天王橋で五日市街道と交差する。
五日市街道は玉川上水の南側の砂川地域を進むが、砂川分水もここで五日市
街道に沿うように分かれていく。(但しこの辺りは暗渠となっている)
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稲荷橋の下流で、玉川上水は残堀川と交差する。
玉川上水は地中へと潜り、残堀川の下を通って対岸に再び顔を出す。
このような方式を伏せ越しといい、サイホン方式により残堀川を潜り抜けている。
この付近の玉川上水の最大のビューポイントといって良いだろう。

現地の説明板に記載されている平面図・断面図(クリックで拡大)
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稲荷橋から見た取水口部、伏せ越し部にゴミが入らないようにする除塵設備が
見える。
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残堀川との交差部、玉川上水はこの地下を潜りぬけている。
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伏せ越しの流出口部、写真奥に見える橋梁は残堀川に架かる上宿橋である。
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もちろん玉川上水開削当初からこのような伏せ越しがあったわけではない。
残堀川はもともと東の立川断層沿いに流れていたが、開削時に天王橋付近へ
と流路変更され、玉川上水に合流して助水として利用された。
残堀川流域の生活水の混入などの理由により、明治40年頃、現在の位置で
水道橋により玉川上水と交差する方式(玉川上水が上)に改められた。
しかしながらたび重なる氾濫により残堀川の改修を行われ、昭和38年に現在
の形態となった。

見影橋のやや上流、右岸に源五右衛門分水がある。
開削は明治43年(1910)と、玉川上水の分水では最も新しい分水である。
当地の名主砂川源五右衛門が屋敷内の水車を動かすために引いた私的な分
水、つまり砂川家専用の分水である。
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見影橋から右岸を歩いていくとその途中に巴河岸跡の説明板がある。
実はかつて玉川上水には水運があった。
明治3年(1870)、明治新政府は願い出により玉川上水に通船を許可した。
当初は十三艘、最盛期には百艘以上の船舶が往来したという。
上流側からは野菜や炭、酒などの産物を、下流側からは肥料や生活物資を輸
送していた。
しかしながら、船のすれ違い時に護岸が削れたり、水が汚染されたりして、わず
か2年で通船は廃止された。
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ここ、巴河岸は舟運時の船着場で、伊勢の巴屋某が船頭をしていたためにその
名がついたという。
川岸に降りる石段が残っているとされるが、残念ながら草木に覆われて確認す
ることができなかった。

金比羅橋手前の南側に、15mほどの金比羅山と呼ばれる小高い塚がある。
(玉川上水沿いからは入れず、南側の一般道へ迂回が必要)
一説には、玉川上水を掘削した際の土を盛って造ったと言われる。
山の頂上には金比羅神社、富士浅間神社が、中腹には秋葉神社が鎮座する。
安政年間(1854~60)に砂川村の名主、砂川家が願主となって勧請したと伝
えられる。
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頂上にある金比羅神社(右)と富士浅間神社(左)、共に小さな祠である。
特に金毘羅大権現は、玉川上水で舟運が行われた際には舟神様として祀られ、
それからこの山は金比羅山と呼ばれるようになったという。
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拝島から金比羅橋まで、上水沿いには一般道が続いていたが、金比羅橋の先
は遊歩道だけとなる。
周囲には緑が濃くなり、散策やジョギングを楽しむ人々と多くすれ違う。
国立音楽大学のキャンパスの南を通っていくと、西武拝島線と多摩モノレール
玉川上水駅に達する。
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分水 万歳!

やぁー 玉川上水の分水が取上げられ、取水口の写真が次々に出てくるので オウ オウ オウと喜んで見入りました。
これを見ると、源五右衛門分水の取水装置だけは 回すハンドルが付いたままですね。他はハンドルは抜いて消火栓のような形状になっているのに.. 不用心ですね(笑)
玉川上水の分水は、最近 知って興味を持ったばかしなので、この記録は貴重です。
ありがとうございました。

Re: 分水 万歳!

>awagaduさん
楽しんで頂いて幸いです。
分水は、まだ野火止用水と国分寺用水(恋ヶ窪用水を含む)しか歩いていませんが、そのうちに色々と巡っていきたいと思っています。
でも、分水って末端になるとかなり分かれるので、どこまで追いかけられるか…?
とりあえず、上流の田村分水・熊川分水辺りを狙っています。

田村分水と熊川分水

田村分水と熊川分水の探索はウェルカムです!
田村分水が、酒蔵から先はどうなってるのか興味があります。
熊川分水は、分水に沿って少し歩きました。
こちらも蔵元から下流はどうなるのかな?
取水口にあるレストラン・浜善で、生簀を囲んだ席でサービス御膳980円を食べましたが、
リッチな気分になりました。お奨めです。

Re: 田村分水と熊川分水

> awagaduさん
ホームページ拝見しました。
今度、行く際には参考にさせて頂きます。

生簀を囲んだ席で980円の昼食ですか。
私も川歩きの際にはファーストフードが多いので、
ちょっと贅沢したくなりました。

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善福寺川沿いのウォーキングから始め、東京や近郊の中小河川・用水・暗渠を巡る。
07年「善福寺川リバーサイドブログ」を綴り始め(14年6月閉鎖)、13年2月から当ブログを開始。

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