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拝島分水

拝島分水は拝島駅北口付近で玉川上水から分かれ、拝島駅の南の住宅
街の中を南下し、その後奥多摩街道に沿って東進する3kmほどの用水路
である。
市街地を流れるためかその殆どは暗渠化され、開渠は奥多摩街道沿いの
一部区間などが開渠となっているが、そこには玉川上水から分かれた清ら
かな水が流れている。

拝島分水の開削は元文5年(1740)、奥多摩街道(旧日光街道)の拝島宿
の飲用水および周辺の田用水として利用された。
享保の改革により1720年代に下流の多くの分水が開削されたことを思うと、
若干遅い開削なのかもしれない。

拝島分水の分水口は、拝島駅北口のすぐそば、玉川上水に架かる平和橋
の下流側にある。
この先はすぐに暗渠となってしまうので、水路に興味がない方にとっては分
水口とは気づかない方もいるかもしれない。
2016-04-23_4.jpg

数十メートルほど行くと、拝島駅構内を横断することとなる。
クロスする横田基地専用線には、かつての橋跡と思しきコンクリートの構造
物があった。
線路脇に立つ英語の警告板が横田基地への線路であることを感じさせる。
2016-04-23_7.jpg

駅の南北自由通路にわたって、南口へと廻ってみる。
立川方向へと進み、松原町4丁目交差点から拝島分水の暗渠道が始まる。
2016-04-23_9.jpg
所々で、道路の下から聞こえてくる水音が、拝島分水の暗渠であることを
認識させてくれる。

暗渠道を辿っていくと、その先で緩やかに坂を下っていく。
道路の下では水が勢いをつけて流れていくのであろう。
2016-04-23_12.jpg
滝が名所となっているように、水が流れ落ちる様というのは美しい。
そういう意味ではこの場所が暗渠となっているのは惜しい気がする。

更に辿っていくと、水路は一般道の歩道となって南へと進んでいく。
2016-04-23_17.jpg

国道16号線手前で、ようやく拝島分水はその姿を見せてくれる。
水量はそれなりにあり、水質もきれいだ。
2016-04-23_23.jpg

開渠となる区間は数十メートル、国道へと出ると再び暗渠となり、国道沿い
に南下する。
2016-04-23_28.jpg

国道16号線から200メートルほど行くと、奥多摩街道との小荷田交差点
があり、ここから先は奥多摩街道沿いを流れる。
拝島三叉路交差点脇で少しだけ姿を見せる拝島分水。
2016-04-23_37.jpg

その先、いったん奥多摩街道から分かれるが、100メートルほどでまた元
の街道に戻ってくる。
2016-04-23_39.jpg

そこでまた数メートルほどの開渠(というほどではないが)を確認できる。
そしてそこでは、なんと水路が分かれており、この先、奥多摩街道の両側
に分かれて流れていくのだ。
2016-04-23_42.jpg
明治40年頃までは道の真ん中を用水が流れていたらしいが、その後、
道の両側に流れが変えられたようだ。
モータリゼーションの発達とも関係があるのかもしれない。

奥多摩街道はその先でほぼ直角に曲がる。
現在の奥多摩街道はその昔は日光街道と称され、八王子千人同心が東
照宮警護のために日光へ赴くために造られたという。
日光街道は八王子から拝島を通り箱根ヶ崎を北へ向かっていた。
そしてこのカーブは、城下町によく見られるように、敵の侵入を防ぐために
宿場町の出入口を大きく屈曲させた枡形跡だという。
2016-04-23_48.jpg

奥多摩街道の北側の水路は、このカーブの先で数十メートルほど開渠となる。
短い区間であるが、清らかな水流を確認できるのは嬉しい。
対して南側の流れは暗渠のまま進むが、いつしか水の流れは無くなってしまう。
2016-04-23_52.jpg

拝島分水は奥多摩街道沿いを流れるため、流れを追いながら街道を歩い
ていくことになるが、古道であるが故に周囲には多くの寺社が存在する。
それらの寺社の紹介が多くなるが、お付き合い頂きたい。

まずは街道の北側から数十メートルほど行ったところに、拝島天神社
鎮座する。
文禄年間(1592~96)、谷保天満宮(下の川2参照)から分祀して建立
されたという古社である。
2016-04-23_58.jpg

用水は再び暗渠となって奥多摩街道沿いを進んでいく。
道路沿いの家には、開渠の頃の名残であろうか、石垣が見られる。
2016-04-23_60.jpg

続いて南側には曹洞宗の玉應山龍津寺がある。
こちらは天文年間(1532~55)の創建と伝えられ、本堂は文化2年
(1805)に再建されたものという。
2016-04-23_64.jpg

次に街道の北側にある天台宗の拝島山普明寺を訪れてみる。
天正年間(1573~91)の創建とされ、江戸期には拝島大日堂(後述)の
別当寺とされたという。
4月下旬の訪問であったが、境内に咲く芝桜が見事であった。
2016-04-23_67.jpg

その普明寺の北側に拝島神明神社が鎮座する。
境内に掲示されている由緒によれば、正平年間(1346~69)、新田義貞
の家臣、三津田源之進が祭祀、その後文禄年間に改築、更には万治元
年(1658)には久保庄右衛門が再建したという。
2016-04-23_72.jpg

普明寺から200メートルほど進むと、拝島分水が再び顔を出す。
ここから拝島交差点までの400メートルほどの区間は、拝島用水が開渠
として楽しめる区間である。
2016-04-23_77.jpg

そのまま拝島分水沿いに歩くのもよいが、ここは北の拝島公園とその周
囲にある社寺を見ていきたいと思う。
拝島地区のお勧め観光スポットである。

まずは拝島公園に入っていくと、藤棚が目に入ってくる。
樹齢約八百年といわれる拝島のフジで東京都の天然記念物に指定されている。
2016-04-23_91.jpg
ここには明王院という寺院があり、その境内に自生していたが、江戸時代
初期に明王院は廃寺、フジだけが残ったという。

その北側の階段を上っていくと崖の上に拝島日吉神社と拝島大日堂が建
っている。

向かって右側の天台宗寺院の拝島大日堂の創建は天暦6年(952)と言
われ、戦国期に滝山城(八王子市、多摩川の対岸)の築城に際し、城の
鬼門除けとしてこの地に移されたという。
天正年間には北条氏照の家臣石川土佐守の娘、おねいの眼病を祈願、
平癒したことにより堂宇を再建した。
2016-04-23_89.jpg
この時に「大日八坊」といわれた一山八ヶ寺が建立された。
前述した普明寺やこの後取り上げる拝島大師や圓福寺も「大日八坊」の
中の寺院である。
なお、もともと崖下にあったが、享保17年(1732)に石段上に移された。

大日堂の左に鎮座する拝島日吉神社の創建は不明、天正年間の大日堂
再建時に建立されたとの言い伝えがある。
江戸時代には「山王大権現」と言われ、大日堂の管理下にあったが、明治
初期の神仏分離以降、日吉神社と称して独立した。
2016-04-23_86.jpg
大日堂と日吉神社の境域は東京都の指定史跡となっている。

大日堂の石段下には、先ほど説明したおねいの井戸がある。
石川土佐守の娘おねいは、この井戸の水で洗眼したところ、眼病が治癒し
たという。
2016-04-23_120.jpg

拝島公園の東側には拝島大師の境内が広がる。
先ほど述べた「大日八坊」の一寺院で、正式名は拝島山本覚院というが、
拝島大師と言ったほうが有名であろう。
正月にはだるま市も開かれ、多くの初詣客で賑わうようだ。
広い境内には、本堂のほか、八角円堂や多宝塔などの建造物もあり、見
所は多い。
2016-04-23_107.jpg

更にはその東にある天台宗の拝島山圓福寺も同じく大日八坊」の一寺院、
拝島大師に圧倒されることもあってか、こちらはこじんまりとしている。
2016-04-23_126.jpg

拝島大師の南大門前を流れていく拝島分水。
2016-04-23_113.jpg

その後、拝島分水は住宅の裏へと入り込んでしまうが、交差する道路から
は開渠として確認できる。
2016-04-23_116.jpg

奥多摩街道は拝島町交差点で再び国道16号と交わるが、拝島分水はそ
の交差点脇に出てくる。
2016-04-23_128.jpg

その後、拝島交差点の南東側へと流れていくが、住宅の奥へと入り込み、
追う術が無くなる。

迂回していくと、田中町団地の西側で、昭和用水(旧九ヶ村用水)田中堀
に流入し、拝島分水は終わる。
2016-04-23_133.jpg

《参考資料》
『あきしま町あるきガイド』 昭島観光まちづくり協会編



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善福寺川沿いのウォーキングから始め、東京や近郊の中小河川・用水・暗渠を巡る。
07年「善福寺川リバーサイドブログ」を綴り始め(14年6月閉鎖)、13年2月から当ブログを開始。

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