いもり川

青山学院大学構内を水源とするいもり川は2km弱の渋谷川の支流である。
現在は全区間、川跡(暗渠)となっているが、途中には谷地形も見られ、散策す
るには手頃で、飽きを感じさせない。

かつて青山学院大学東側に存在していた池から、いもり川が流れ出していたという。
青山学院大学の敷地は、江戸期は伊予西条藩松平家の上屋敷が存在し、明
治16年(1883)、築地にあった前身の東京英学校がこの地に移転した。
現在はキャンパス内に校舎が立ち並ぶだけとなっているが、東門から構内をうかがう
と、わずかに坂となっておりかつての谷頭を彷彿とさせる。
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青山学院の東側に沿っての道路を南下していく。
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六本木通りを過ぎると、常陸宮邸を右に見ながら進む。
道路の形状が僅かに蛇行しているのは、いもり川の形状に沿っているからだろうか。
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その先で東四丁目交差点に出るが、ここで右側の坂を上って白根記念渋谷区郷
土博物館・文学館
を訪れることをお勧めしたい。
交差点からは歩いて数分の距離である。
渋谷区の歴史をあまねく紹介しており、展示や資料の中には渋谷川水系に関する
ものもある。
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東四丁目交差点の脇には階段に続く細い路地があり、いもり川の流路跡とされる。
この路地はカクカクと曲がりながら数十メートルほど続き、一般道へと戻る。
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さらに一般道を進んでいく。
写真奥に見える校舎は東京女学館、ここの南側にも羽沢の池と呼ばれる池があり、
いもり川へと注いでいたという。
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道路は東京女学館の南西脇でT字路となり、その先はいもり川階段と名づけられ
た階段を下りて、水路跡の細い道となる。
暗渠ファンには有名な場所だ。
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道沿いには石積の護岸跡も残っている。
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階段から続く細道は、その先、広尾3丁目の住宅街へと入っていく。
道の左側には写真のような階段もあり、谷間であることを感じさせる。
ちなみにここの谷は「羽沢の谷」と呼ばれていた。
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谷の西側には、かつて羽沢ガーデンと呼ばれる日本庭園を持つ宴会場があった。
東京市長などを歴任した中村是公の邸宅であった敷地を料亭として始めたもので、
大正時代の日本家屋や庭園を持つものであったという。
平成17年(2005)に閉業後も色濃い緑が残っていたが、残念ながらマンションに
変わってしまった。(写真は2011年訪問時に撮影)
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前掲のいもり階段の左側も新しいマンションが建てられた。
広尾という土地柄、この付近の環境もこの先も変わっていくかもしれない。

その先、道の左手には石積みの擁壁が続く。
一番、羽沢の谷が実感できる場所ではないだろうか。
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いもり川の右手、数十メートルほど行ったところに臨済宗の禅河山東北寺がある。
寛永6年(1629)、美濃国関ヶ原宿出身の僧、至道無難が麻布桜田町に東北
庵を創建したことに始まる。
その後、出羽米沢藩第ニ代藩主上杉定勝の側室、生善院が中興開基し、元禄
9年(1696)に当地に移転、東北寺と改称したという。
その関係から上杉定勝や生善院などの墓所がある。
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特筆すべきは、赤穂事件の当事者である吉良義央(上野介)の妻、富子の墓(写
真右)があること。
吉良富子(梅嶺院 1643~1704)は上杉定勝の四女で義央に嫁いだ。
松の廊下刃傷事件の後、義央は隠居、本所松阪町へ移されるが、富子は義央に
同行せずに上杉家に戻ったため、ここに墓があるようだ。
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いもり川は谷を抜けた後、臨川小学校の西側を南進する。
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明治通りを渡った先、広尾一丁目児童遊園地と称する小さな児童遊園を抜ける
渋谷川へと突き当たる。
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反対側へと回ってみると、児童遊園の下に小さな吐口を見ることができる。
水は出ていないので、現在では単に雨水吐として設置されているものであろう。
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《参考文献》
『「春の小川」はなぜ消えたか』 田原光泰著 (之潮 刊)


  
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善福寺川沿いのウォーキングから始め、東京や近郊の中小河川・用水・暗渠を巡る。
07年「善福寺川リバーサイドブログ」を綴り始め(14年6月閉鎖)、13年2月から当ブログを開始。

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