二ヶ領用水 宿河原堀

多摩川の水を宿河原堰から取り込んむ二ヶ領用水 宿河原堀を歩いてみた。
登戸駅から多摩川沿いに十数分ほど下流方向へと歩くと、宿河原取水口(堰)が
見えてくる。
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宿河原堀は、上流の上河原堰(中野島取入口)から二ヶ領用水が開削されて十
数年後の寛永6年(1629)、用水周辺の新田開発が進み、水の需要が多くなって
きたため、その補完として、関東郡代伊奈半十郎忠治の手代、筧助兵衛の指揮
のもと、開削されたといわれている。
但し、二ヶ領用水の中興の祖と言われる田中休愚が後に中野島取入口を造ったと
の記録もあり、真偽のほどは明らかではないようだ。

現在の堰は平成6年(1994)に造られた可動堰である。
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それ以前は、安定した取水量を確保するために昭和24年(1949)に造られた固定
堰であったが、これが災いして昭和49年(1974)、台風16号による出水により、対
岸の狛江市において民家19軒が流出する甚大な被害が発生した。
『岸辺のアルバム』としてテレビドラマ化された水害であるため、ご記憶の方も多いだろう。
その多摩川水害により、固定堰から可動堰に変更されたというわけである。
(下の写真は。堰の説明板に掲載されている当時の航空写真)
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宿河原堰の管理所を利用して、二ヶ領せせらぎ館が設置されている。
自然や環境を主とした展示のほか、二ヶ領用水に関する資料が頒布・販売されて
おり、また閲覧も可能なので是非とも立ち寄りをお勧めしたい。
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せせらぎ館から数十メートルほど下流、多摩川の河川敷内に船島稲荷大明神
鎮座している。
治水興農の守り神として祀られ、地元では沓稲荷とも呼ばれているという。
創建年代は不明だが、鷹狩に訪れた殿様の愛馬の病を治した馬医が、褒美を貰
い、京都の伏見稲荷に参詣して勧請したと伝えられている。
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宿河原堰は多摩川から分流して、南東方向へと向かう。
水路の両岸には、桜が植樹され、桜の名所としても名高い。
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こちらは桜の季節に訪れたときの風景。
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水路脇には遊歩道が続いており、東名高速との交差部までの間、宿河原堀の殆ど
の区間で設置されている。
中野島からの二ヶ領用水本流にも、このような親水路があるが、歩きやすさから言え
ば、こちらに軍配が上がるであろう。
(なお桜の時期は親水路は花見会場と化す。)
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堰から500メートルほど行くと、JR南武線の鉄橋がある。
遊歩道は鉄橋の下を抜けているが、かがんで通るようになっている。
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さらに桜並木の下に続く遊歩道。
宿河原堀沿いのソメイヨシノは昭和33年から二回に分けて植えられたもので、四百
本余りが植えられたという。
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宿河原駅の東側では一時的に南武線に接近する。
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その先、八幡下橋の脇に八幡下圦樋の記念碑がある。
洪水による下流の水害を防ぐため、圦樋を造って宿河原堀の水を堰き止め、余水
を多摩川へ放流する施設で、明治34年(1910)に竣工したという。
しかしながら、近年、かえって圦樋が原因で近隣に水害を起こし、昭和63年(1988)
年頃に取り除かれたらしい。
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川崎市緑化センター沿いでは、向ヶ丘遊園付近で二ヶ領用水本流から分水された
五ヶ村堀が掛樋で交差をしている。
水路と水路の立体交差は、見ていても飽きない。
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その先、左岸に大きな塔をもつ寺院が見えてくる。
大正元年(1912)に開基された新明国上教会であり、発足して百年ほどの比較
的新しい宗教の寺院らしい。
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稲荷橋の横に小さな稲荷神社があったが、
由緒は不明、写真左の小さな祠は「歳の神御神体」。
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東名高速道路の高架橋の下に徒然草の石碑がある。
兼好法師により記された徒然草第115段に書かれている宿河原を紹介したもので
あり、次の書き出しで始まる。
宿河原といふ所にて、ぼろぼろ多く集まりて、九品の念仏を申しけるに、外より入り
来たるぼろぼろの、「もし、この御中に、いろをし房と申すぼろやおはします」と尋ね
ければ、
(以下略)
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遁世者(浮浪者)が師の仇討ちをする話であるが、冒頭に出てくる宿河原が当地
であるということから、碑が建立された。(一説には大阪府茨木市宿川原町とも)
碑の横にある説明文によると、中世において「宿」は河川の渡河地点など要衝地
に設けられ、市が開かれ人々が移住するほか、道場や寺院が建てられたという。

東名高速を過ぎて、流れる宿河原堀。
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そこから300mほど過ぎると、二ヶ領用水本流(二ヶ領本川)へと合流する。
合流地点からJR南武線久地駅は近い。
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《参考資料》
『二ヶ領用水知恵図改訂版』 川崎市建設緑政局編
『川崎歴史ガイド 二ヶ領用水』 川崎市文化財団編


  
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善福寺川沿いのウォーキングから始め、東京や近郊の中小河川・用水・暗渠を巡る。
07年「善福寺川リバーサイドブログ」を綴り始め(14年6月閉鎖)、13年2月から当ブログを開始。

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