元町用水

国分寺市内を流れる野川の支流、元町用水を取り上げてみる。
武蔵国分寺付近の崖線から流れ出る湧水を集めて流れる小河川で、またの名
清水川という。
水路脇の遊歩道は、お鷹の道として整備・観光地化されているので、そちらの
名前からピンと来る方も多いかもしれない。

いくつかある水源の中で、最上流として把握できるのは武蔵国分寺跡資料館
の敷地内(「おたかの道湧水園」と称する)にある湧水源であろう。
湧水源保全地区となっているため、水が湧き出るポイントに近づくことはできな
いが、資料館裏の観察ポイントでは森の中から流れて出てくる湧水を見ること
ができる。
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元町用水を辿る前に、武蔵国分寺について軽く触れておきたい。
天平13年(741)、聖武天皇は「国分寺建立の詔」を出し、諸国に国分寺と尼寺
の設置を命じた。
武蔵国に置かれた国分寺は国府(現府中市)の近く、東山道武蔵路沿いのこの
地が選ばれ、建立された。
諸国に建てられた国分寺の中では一番規模が大きく、東西1.5km、南北1km
に及ぶ範囲に寺院などが存在した。
下の写真は資料館内にある復元模型で、金堂、講堂や七重塔などがあったこ
とがわかる。
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こちらは都立武蔵国分寺公園内にある金堂跡の礎石。
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東山道武蔵路の西側(現在の武蔵野線の西側)には、国分尼寺跡の市立歴史
公園
があり、礎石が復元されている。
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現在の国分寺(医王山最勝院国分寺)は、真言宗豊山派の寺院であり、武蔵
国分寺公園の北方にある。
元弘3年(1333)の分倍河原の戦いで敗れた新田義貞は、その敗走中、国分
寺を焼失させ、建立から600年近く続いた武蔵国分寺は終わる。
その後、義貞は後悔の念からか、2年後の建武2年(1335)、薬師堂を寄進する。
写真は国分寺の本堂、享保18年(1733)に再建、昭和62年(1987)に改築
されている。
2014-09-28_34.jpg
国分寺境内には万葉植物園があり、万葉集に因む約160種の植物を展示して
いる。

こちらは江戸名所図会の『国分寺』。
右下には本堂が、上部には薬師堂が描かれている。
国分寺
                       (国立国会図書館 近代デジタルライブラリーより転載)

さて、元町用水を辿っていくことにしよう。
前述の湧水からの流れは、国分寺と湧水園の間に流れ出てくる。
水路の脇にはお鷹の道と呼ばれる遊歩道が始まる。
寛延元年(1748)、国分寺市内の村々が尾張徳川家の御鷹場に指定されたこ
とに由来するという。
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上の写真の道を左折したところにあるのが、武蔵国分寺跡資料館
有料であるが、国分寺の歴史を知る上で、是非とも立ち寄ってほしい。
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遊歩道をさらに進むと、真姿の池湧水群からの流れが合流する。
真姿の池湧水群は、環境庁の名水百選、および東京都環境局の東京の名湧
水57選
に選定されている。
季節を問わず、国分寺崖線(ハケ)から豊富な水が湧き出し、その量は1日に
約千立方メートルに及ぶ。
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水流脇には農家の直売所もあり、都内から数十分とは思えない光景が見られる。

こちらが真姿の池、その由来には次のような言い伝えがある。
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嘉祥元年(848)、不治の病に苦しんだ玉造小町が、病気平癒祈願のため国分
寺を訪れて21日間参詣すると、一人の童子が現れ、小町をこの池に案内し、
この池の水で身を清めるようにと言って姿を消したので、そのとおりにしたところ、
たちどころに病は癒え、元の美しい姿に戻った。
それから人々はこの池を真姿の池と呼ぶようになったという。
                                (東京都教育委員会説明板より引用)

真姿の池湧水群からの水流を加えて、水路の水量は増す。
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お鷹の道が終わると、水路は住宅の間を通り抜けていく。
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迂回した先では、梯子状開渠となって流れ出てくる。
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元町用水は、一里塚橋の上流で野川に合流する。
合流口は思いのほか小さく、目立たない。
2014-09-28_87.jpg
距離としては1kmほどと短いが、歴史に触れてながら湧水を楽しむことができ
る散策路である。

《参考文献》
『国分寺 歴史・観光マップ』 国分寺市観光協会


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善福寺川沿いのウォーキングから始め、東京や近郊の中小河川・用水・暗渠を巡る。
07年「善福寺川リバーサイドブログ」を綴り始め(14年6月閉鎖)、13年2月から当ブログを開始。

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