黒目川は、小平霊園内のさいかち窪を水源とし、東久留米市・新座市を経由し
朝霞市根岸で新河岸川に合流する延長17.3kmの河川である。
落合川や出水川などの支流を持ち、妙音沢をはじめとして、豊富な湧水が流れ、
流域の市民の憩いの場ともなっている。
黒目川については、久留米川・来目川・久留目川・来梅川などと記された古い
文献もあるようだ。
落合川合流付近から下流地域を「黒目の里」と称していたことが由来とする
説や、水源近くの柳窪天神社の梅に由来する説など諸説があるが、はっきり
しない。
源流の
さいかち窪は、小平霊園の北側、新青梅街道沿いにある。
小さな石橋があるが、水流は確認できない。
数年に一度、多雨時に付近の地中水量が飽和状態になると湧水が出現する。
なお「さいかち」というのはマメ科の落葉高木で、漢字では「梍」と表記する。

(追記)
2015年9月、台風18号による大雨により、さいかち窪に湧水が出現した。
7年ぶりの湧水の出現だという。
写真はその際に訪問した時のさいかち窪の状態、普段からは考えられない量
の水がコンコンと流れていた。
(写真をクリックすると、大きく表示されます)

新青梅街道を北側へ渡ると、水の流れが出現する。
新青梅街道下の雨水幹線からの放流である。
訪問日の前日に雨が降ったため水流が確認できるが、冬季の晴天時などは涸
れている。
川沿いに遊歩道が設置され、遊歩道を数百メートル辿っていくと、柳窪天神社
(黒目川天神社)前に
東京の名湧水57選に指定された湧水がある。
周辺には寺社林や屋敷林がひろがり、柳窪緑地保全地域として東京都環境局
からの指定も受けている。
但し、この湧水、二度ほどこの地を訪れたが、残念ながら水の湧出は確認でき
なかった。現在は常時水が湧き出るものではないらしい。

(追記)
前掲のさいかち窪湧水出現時の同地点の状態。
川脇から水が湧き出ているのが確認できた。

その湧水の前にある
柳窪天神社。

境内には「柳窪梅林の碑」があり、安政4年(1857)、六所宮神主(府中大国魂
神社宮司)であった猿渡盛章が書いたもので、古い祠の脇にあった天神松と称
する老木が枯れるのを惜しみ、村人と梅林の植樹をしたことが記されている。
碑文には「来梅ノ荘の里」「来梅川」という名が記されており、前述の黒目川の
由来の1つもここから来ている。
天神社の東側に国の登録有形文化財に指定された
村野家住宅がある。
東久留米市内に唯一現存する茅葺民家と、付随する土蔵や門が、平成23年
に文化財として指定された。
個人宅であるため見学はできないが、明治14年(1881)建築の薬医門は住
宅脇の道路から見ることができる。
三方橋の先からは東久留米十小沿いに木製の遊歩道が続く。

柳橋からは久留米西団地の中を流れて行くが、そこには
しんやま親水広場と
称する親水公園が続く。
川の水が増えたのは、柳橋の下で雨水幹線からの放流があるからと思われる。

遊歩道の地下には高さ、幅ともに2mの余水路が設けられ、雨天時でも親水路
の水位が40cmを超えないよう配慮がされている。
親水公園の途中にあった欄干、以前は相当狭い水路であったのであろう。
以前はフェンスに囲まれたコンクリート水路だったようだ。

水辺に下りる場所もあり、近隣の子供たちの絶好の遊び場となっている。

団地を過ぎると、数百メートルほどではあるが、川は住宅の裏を進み、川沿い
を歩けなくなる。(将来は遊歩道の計画があるらしい)
仕方なく右岸に並行する下里本邑通りを歩くことになるが、その道路の坂を下
ると、黒目川に再会する。
その交差部にあるのは
氷川神社、門前の橋は氷川橋と称する。
創建年月は不明だが、長禄元年(1457)に再建したと記されている文書があ
ると由緒書きには記載されている。
現在は落合川沿いにある南沢氷川神社の管理下にあるようだ。
都大橋から先、黒目川の姿は一変する。
河川整備が施されて川幅は大きく広がり、川の両岸に遊歩道が続く。

都大橋から百メートルほど行くと、右岸に
西妻川の合流口がある。
白山公園を源として、下里1丁目・2丁目の住宅地や畑の間を流れていく。
合流手前で雨水幹線に流れ落ちるためなのか、普段は黒目川に流れ込んでいない。
また冬季には水源は枯れ、水流はなくなる。

平成橋手前では、今度は左岸から
出水川が合流する。
萩山駅の北、オオカミクボと呼ばれていた窪地付近を水源とし、小平霊園の西
側を通り、黒目川の北側に並行するようにして流れ、この地で合流する。

その先、川の北側には
下里本邑遺跡館と
下里本邑遺跡公園がある。
(川沿いの遊歩道からは直接入れないため、迂回が必要)
昭和53年から56年にかけて発掘調査され、旧石器時代、縄文時代、弥生時
代、そして奈良・平安時代にわたる生活跡が発見された。
遺跡館には縄文時代早期の生活跡や地層が復元・展示されている。

降馬橋とよしきり橋の間の右岸にはコカコーラの多摩工場がある。
工場からは浄化された水が黒目川に落とされており、黒目川の水源の1つとも
なっている。

その工場からの水も加わり、水量は次第に多くなってる。
また、この辺りは中学校や高校があり、登下校時には生徒達の自転車が川沿い
の遊歩道を連なって走る。

幸橋を過ぎると、右岸に
楊柳川の合流口が見えてくる。
都営八幡団地付近から流れる河川で、全区間が暗渠である。
この付近には黒目川の旧水路(現在は遊歩道)があるが、楊柳川はその旧水路
に流れ込んでいた。
現在は遊歩道の地下を上流方向へ数十メートル引き回され、ここに流れ出ている。
より大きな地図で 【川のプロムナード】黒目川・落合川周辺マップ を表示
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